NHK朝ドラ「とと姉ちゃん」
ネタバレ感想12週71話
2016年6月24日(金)放送
とと姉ちゃん12週テーマ「常子、花山伊佐次と会う」
とと姉ちゃん ネタバレ感想・最終回まで12週71話
昭和16年12月8日未明。
日本軍がハワイの真珠湾を攻撃し、ついに太平洋戦争が始まりました。ラジオから流れてくるその衝撃的な放送に、青柳家の朝食の席は、皆、一気に不安に包まれるのでした。
そして翌年、昭和17年4月には、東京をはじめ日本本土に初の空襲があり、戦争は激化の一途をたどっていました。
出版物や言論の検閲はより厳しくなり、常子のいる甲東出版でも戦争を礼賛する読み物を載せるなど、国の意向に合わせた編集をせざるをえない状況となっていました。
青柳商店にて・・・
最後の職人も解雇せざるを得ないことになり、店先で番頭の隈井がそれを見送ります。そこに、若旦那・清が浮かない顔つきで、会社から早々と帰って来ました。
清は伏せっている母・滝子の枕元に、叱られる前の子供のように膝を揃えて小さく座ります。
「・・・私は情けない人間です。」・・・母から青柳商店をまかされたのに、自分では決断できず、返事を持ち帰ってきたと話します。
そして、200年の青柳商店の看板を背負うほど、自分の器は出来ていなかったと憔悴しきった顔で言うのでした。
清の話によると、深川の材木商は個人営業を禁じられ、経営者は店を閉めるか軍の統制下に入るかの選択を迫られたと言います。
青柳商店の女将・滝子は200年の伝統をここで消すわけにはいかないと、店を存続させるために、不本意ながらも軍の統制下に入ることを決めるのでした。
そんな殺伐とした日々の中で、滝子の体調は日に日に悪化しているようでした。
様子を見かねたかか・君子は医師に往診を依頼します。
医師は滝子と君子の前で「問題ないでしょう」と言い、二人を安心させます。
やがて、医師を見送ろうと君子と隈井が店先に出ると、医師は先ほどとは一変した表情で「あまり思わしくないですね・・・」と言い残し帰って行くのでした。
雨の中、近くのお寺に君子がお参りをしていると、母・滝子がやって来ます。滝子も気丈にふるまってはいますが、医師の言葉を聞かなくとも、もう自分の寿命を予感しているかのようでした・・・。ふたりは、昔話を懐かしみながら青柳に帰ります。
すると、番頭の隈井が沈痛な面持ちで女将・滝子の帰りを待っていました。
軍が、青柳商店を「軍の事務所」として借り上げたいと言ってきたというのでした。
それは、事実上青柳商店の看板を下ろすという事でした。滝子はふたたび大きな決断を迫られるのでした・・・ つづく
とと姉ちゃん12週71話・感想まとめ
【よっちゃんはおばあちゃまが大好き!】
滝子おばあちゃまが、朝食を『みんなと一緒に食べようかね』と答えるのを聞いたよっちゃんの嬉しそうな顔と言ったら…すごく可愛くて愛らしい!よっちゃん、本当におばあちゃまが大好きなのですねぇ。
祖母と初めて対面した時のそれぞれの年齢も関係しているのでしょうけれど、常子ちゃんと鞠子ちゃんが『おばあさま』と呼ぶのに対してよっちゃんは今でも『おばあちゃま』と呼んでいます。それがとても可愛らしくて、祖母を慕っているのが良くわかります。
今日は、手先の器用なよっちゃんがおばあちゃまの浴衣を縫っていましたよね。おばあちゃまが大好きなよっちゃんですから、みんなで一緒に行く約束をしたお祭りには、どうしても自分で縫った浴衣を着てもらいたいのでしょうね。
孫からそんなに慕われたら「ばぁあさま冥利」につきると言うものです。
そんな滝子おばあさまが羨ましい限りですけれど、日増しに元気がなくなっているのがとても気になります。
【青柳商店の女将さん】
三姉妹の祖母であり君子かかの母親、「おばあさま」は老舗の女将さんとして二百年続く材木問屋「青柳商店」を、男顔負けの気丈さで守り抜いてきた女性です。そんな女性が病に侵されながら、大きな時世の波に翻弄されお店の存亡の危機にさらされるなんて、見るに忍びませんよね。ましてや、人生の晩節ですもの…。
娘の君子かかや孫の常子ちゃんたちなら、なおさらそんなおばさまを見るのはつらいことでしょう。でも、おばあさまはすでに自分の死期を悟っていらっしゃるような気が…。
聞こえていたあの音は春雷でしょうか?君子かかは雷の音のする雨の中、お寺でおばあさまのために祈りを捧げていたのでしょうね。そこに、番傘を差してやってきた滝子おばあさまはいつも通り背筋の伸びた凛とした美しいたたずまいのまま『祈りに来たんじゃない。最近やたらと昔のことを思い出しっちまって、なじみの場所に来たくなるんだ』と言うのを聞いて、やはり覚悟をしていらっしゃるのでは、と勘繰ってしまいました。
思い過ごしだといいのですけれどもね。
一視聴者としてはもう一度、滝子おばあさまの粋でいなせで胸のすくような啖呵を聞いてみたいのですけれど…無理でしょうかしら?
【戦争用語】
今日ドラマのはじめに青柳商店の居間での朝食シーン、ラジオから流れていた臨時ニュースのなかの『大本営陸海軍』の大本営などは現代ではまるで目にしない、耳にしない言葉ですよね。
それに甲東出版の五反田さんのセリフの中の『こんな戦意高揚の退屈な読み物ばかり~』の戦意高揚という言葉も今ではゲームの中や比喩的表現でしか使われることはないような気がします。これらの言葉は戦争用語といってもいいかもしれませんね。
戦意高揚とは、読んで字のごとく人々の戦う意志を高めることですから、戦時下においては国家(軍部)が戦争を続けていく意欲を国民に対して喚起し促すことを指しています。
そして、大本営の「本営」は戦国時代などの「本陣」と同義語、総司令官のいる場所を指し、大をつけることで更に仰々しい名にしたものです。ですから、大本営とは戦時中(日清戦争から太平洋戦争まで)には日本軍の最高司令部としての機能を果たしていた機関です。
今、権力者などが自己保身のために情報操作をして虚偽の情報を発表したりすることを「大本営発表」という揶揄的表現をすることがありますがこれは、その戦時中、敗戦の色が濃くなった戦況にもかかわらず、さも有利であるかのような虚偽情報を大本営発表として流し続けていたことからきているのですねぇ。
何はともあれ、戦争用語など使いたくはないものですが、我らのとと姉ちゃん、常子ちゃんは戦争なんかに負けずに頑張ってくれると信じていますよ。
ではでは
感想by香風