NHK朝ドラ「べっぴんさん」
ネタバレあらすじ感想19週104話
2017年2月6日(月)放送
べっぴんさん19週テーマ「希望」
べっぴんさん ネタバレ感想・最終回まで19週104話
ヨーソローにて・・・
五月の事は、二郎に正直に話すべきだと、母・すみれから強くたしなめられたさくらはその場を逃げるように去ろうとします。
「五月がどないしたんや!」二郎がさくらを引き留め問いつめると、さくらは、五月が妊娠していることを二郎に告げるのでした。
東京のスカウトマンたちの待つ中、自分の子供を宿していると知った二郎は、五月に会いに行こうとします。
すると、「こっちはわざわざ東京から来てるんだぞ!」と、スカウトマンの野中が言い出します。
そこに、すかさずさくらが「東京へ行かな!何をしてるのよ!」プロになるのが夢だったばずと、二郎を引き留めます。
さくらの幼い恋心は、残酷なまでにすべてを盲目的にしていました。
そんなさくらを制したのは、紀夫でした。そして、中野達には改めて二郎から連絡させると言い帰すと、二郎を五月がいる自宅へと連れて行くのでした。
坂東宅にて・・・
五月は、喜代から編み物を教わっていました。そんな中で、いつしか五月は自分の思いのひとつひとつを喜代に語って聞かせるのでした。
また、喜代も、出産への不安を抱える五月に、母親としての在り方を丁寧に伝えると、五月の顔も和らぐのでした。
そこに、すみれと紀夫がさくらを連れて帰ってきました。家を出て以来はじめて会うさくらに、喜代は喜び迎いいれます。そんな光景を五月も嬉しそうに眺めます。
ところが、二郎が来たと知った瞬間、五月は別室に駆け込み二郎と会おうとはしませんでした。ドア越しに二郎は自分の思いを伝えます。しかし、五月は、子供は一人で育てると言い、二郎の夢を邪魔したくないと気丈に告げるのでした。
そして、自分の事は忘れてほしいと言い、さらに、「二郎ちゃんの事は忘れる。…忘れられる」と告げるのでした。五月の自分への思いを知った二郎は、その晩はひとまず帰ることにするのでした。
一方、二人のやり取りを目の当たりにしたさくらは、その深い思いで結ばれた二人の関係に、打ちのめされていました。
「失恋しちゃった…」そう言い涙を流すさくらを、すみれと紀夫はそっと慰めるのでした。
そのとき、電話が鳴り響きます。近江の忠一郎からでした。五十八が倒れたという知らせでした。
近江・坂東本家にて・・・
翌日、すみれの一家と、ゆりの一家が慌てて駆けつけると、五十八は眠ったままでした。以前から心臓が悪かったと聞かされます。
いつも側にいてくれて当たり前の人を、失うかもしれないという得体のしれない恐怖が、すみれの心に広がって行くのでした・・・つづく
べっぴんさん19週104話・感想まとめ
先週はヨーソローでのとても気になる場面で、放送終了時間を迎えた「べっぴんさん」。月曜の朝が待ち遠しかった人も多かったのではないでしょうか?
◇ 二郎だって「べっぴんさん」のはず…
五月の妊娠を知った二郎は、スカウトのことも気にせずに、五月と会うことを即断します。二郎も、五月からサッサとさくらに乗りかえ夢を追いかけるだけのバンドマン…というわけではないようで、ホッとしましたね。
思えばこれまでも「べっぴんさん」には、本当に救いようのない「性悪」というタイプの人はでてきていません。
初めはすみれたちを受け入れなかった近江の人たちも、闇市を牛耳っていた根本も、何だか嫌味だった小山も…、最終的にはみんなとても良い人として描かれています。
キアリスのニセモノを作っていた玉井も、栄輔のもとで働いているようですから、まだはっきりとはわかりませんが、きっと根っからの「極悪人」というわけではなかったのでしょう。
「べっぴんさん」の登場人物は皆、戦争や貧困によって、一時的に道を誤ったり、誤解されるような行動を取ったりする人はいても、心の奥底には優しさや思いやり、人間らしい心をしっかりと持っています。
先日の大急百貨店での「女の一生」の展示ではありませんが、コウノトリに運ばれてきた赤ちゃんは一人一人が清らかでかけがえのない「べっぴんさん」。人はみんな「べっぴん」な心を持っている。
それこそが、この朝ドラのスタッフやキャストの皆さんが私たち視聴者に伝えたかったことなのかもしれませんね。
さあ、五月の妊娠と東京への道、人生の岐路に立たされた二郎。彼の中にある「べっぴん」な心は、どんな決断を下すのでしょうか!?
◇ 喜代から贈られた「母たちへの応援歌」
お腹の中にいる子どものために、一生懸命、喜代に編み物を習う五月。本当に健気ですよね。普通なら主人公寄りの存在であるさくらに肩入れしてしまいそうな三角関係ですが、ここまでのいろんな事情を知っている私たち視聴者は、みんな「五月派」なのではないでしょうか?
「考えて、考えて考えて考えて…」一人で産むことを決めた五月に、喜代は優しく、けれども力強く、子どもを育てる心構えを説きます。
ちゃんと言葉にして抱きしめ、愛情を伝えること。きっと喜代は、かつてすみれにも同じ事を同じようにしっかりと伝えたのでしょう。
事情が違うとはいえ、紀夫の出征で、妊娠、出産という一大事を一人で乗りこえなければならなかったのは、すみれも同じ。紀夫が復員したあとだって、やっぱりさくらにとって母親はすみれただ一人なのです。
「すみれ奥様もそうでした。」
意味があるのか、無意識なのかはわかりませんが、喜代は「すみれ奥様もそうです。」と言わず、過去形で語りました。
五月に語りかける喜代の言葉の奥底には、五月だけでなく、すみれを始めとする子育て中のお母さんすべてに対する、温かい想いが満ちあふれているようです。
すみれと同様、私たちも毎日忙しく子どもと向き合っているうちに、ついつい忘れてしまいそうになりますが、どんなときも子どもに愛情をかけ、さらに、それを子どもに伝えていくこと、それが母親の一番大切な役割なのです。
女中という立場をわきまえながらも、さくらやすみれ、五月を心から心配する喜代の想いが溢れでたとても素敵なシーンでした。
◇ さくらの失恋
五月と二郎が扉越しに熱い想いを語り合います。二郎の夢を叶えるため、自分の人生もかえりみず突き放そうとする五月。
東京行きを勧めるという意味ではさくらも同じですが、その想いの強さ深さにどれだけの差があるのかは、まだ精神的な幼さの残るさくらでも十分に理解できたことでしょう。そして、二郎の五月に対する想いも…。
泣き笑いの笑顔で「失恋しちゃった」というさくら。恋は盲目という言葉の通り、失恋によってやっと目が覚めたよう。さくらにも生まれ持った素直な心が戻ってきました。
まだ完全にわかり合えたというわけではないのでしょうが、すみれの言葉を頷きながら聞くさくらに、私たちも数週間ぶりにホッとさせられました。
◇ 五十八の枕元で…
さて、これで大団円…といかないのが朝ドラです。近江から五十八の容態を知らせる電話が入りました。
五十八の枕元で肩を寄せ合う姉妹。最近はすっかり母親然としたゆりが見せる狼狽した姿からも、二人のショックがヒシヒシと伝わってきました。
二人は幼い頃に、母・はなという大切な存在をなくしました。それだけに、かけがえのない人との別れの辛さは誰よりもよくわかっているはずです。
もちろん、人は永遠には生きられません。いつか別れの時がやってくるのが世の定め。けれども、ゆりとすみれの心には、どうしてこの間会ったときに、少しも気がつかなかったのか…という後悔が何度も何度も押し寄せてきていることでしょう。
どうか、なんとかもう一度、この二人に父と語り合う機会を…、そう祈らずにはいられません。
一難去ってまた一難の「べっぴんさん」。二郎と五月、そして生まれてくる赤ちゃんのことも気になります。私たちも五十八の容態を案じながら、明日の放送を待ちましょう・・・
ではでは
感想byありす