ドラマでは挫折を繰り返しながらもアニメーターとして成長していく、ヒロイン・奥原なつの姿が描かれていきます。
さて、アニメーターとしてのなつ(広瀬すず)には、モデルとなる人物がいると言われています。
その方は、昭和30年代初頭に『東映動画』に在籍していた奥山玲子(おくやまれいこ)さんです。
はたして『奥山玲子モデル説』は本当なのでしょうか、調べてみました。
もくじ
【なつぞら】奥原なつのモデルは誰?モデルの東映動画を探ってみた!
作中にでてくる『東洋動画』のモデルは、『東映動画』(現・東映アニメーション)と言うことは、皆さんの周知のとおりです。
となると、『東映動画』に、なつのモデルとなった女性アニメーターがいるのでは?ということで、当時の『東映動画』のスタッフを調べてみました。
すると、
- なつ(1937年生まれ)と生まれ年がほぼ同じ(1936年生まれ)。
- 当時、非常に数が少ない女性アニメーターのひとり。
- 東映動画初の長編アニメ『白蛇伝』の制作に参加している。
- 奥原なつと名前の印象が似ている。
奥山玲子(おくやまれいこ)さんという人物が浮かび上がってきました。

引用:http://www.yk.rim.or.jp/~rst/rabo/okuyama/
これほど条件がそろっていると、さすがに『ヒロイン・なつ』のモデルかも?と言われるのもうなずける気がしますね。
奥山さんは、『東映動画』の創業期に活躍した女性アニメーターです。
では日本のアニメの黎明期に活躍した、この奥山玲子さんとは、いったいどんな女性だったのでしょうか。
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【なつぞら】奥原なつのモデルは誰?モデル・奥山玲子さんのキャリアがすごい!
奥山玲子さんは、日本でアニメーションが作られ始めた当時、日本のアニメーターとして活躍した人物です。
厳しい家庭から抜け出して
奥山さんは宮城県仙台市生まれ。
厳しい家庭に育ち、父親に無理矢理、東北大学教育学部に入学させられました。
それに我慢できず、奥山さんは大学を中退して上京しました。
元々絵を描くことが好きだった奥山さん。
1957年に、設立されたばかりの『東映動画』にアルバイトとして応募し採用されました。
このとき奥山さんは「動画」を「童画」と勘違いし、絵本の仕事ができると勘違いしていたそうです。
しかし、働いているうちにアニメーションの仕事が面白くなってきた奥山さん。
そのまま『東映動画』に入社して、アニメーターとして歩み始めました。
ちなみに、『東映動画』の初代社長は大川博さん。
ドラマでは「大杉満」ですから、社長の名前も似ていますね。
東映動画での活躍
『東映動画』に正式に入社した奥山さん。
入社早々に、『東映動画』の長編第一作目となる『白蛇伝』に動画スタッフとして参加しました。
それ以後、『少年猿飛佐助』や『西遊記』、『安寿と厨子王』など数々のアニメ映画で原画や動画として活躍します。
もっとも得意だったのは、可愛らしい動物や女の子の「キャラクターを作ることだったそうです。

引用:文春オンライン https://bunshun.jp/articles/
一時期は『東映動画』の紅一点として働いていた奥山さん。
奥山さんは、アニメーターには細かい神経が要求されるから女性が向いているのに、絶対数が少ないとこぼしていたそうですよ。
奥山さんはこのように、女性アニメーターのリーダー的存在として腕を振るっていたようです。
また、当時『東映動画』の中では労働争議が絶えませんでした。
奥山さんはアニメーターたちの先頭に立って、社員や女性の待遇改善について経営陣と戦ったそうです。
「負けず嫌いで反骨精神のある自立した女性」らしいエピソードですね。
東映動画退職後
奥山さんは1976年に『東映動画』を退職して、日本アニメーションへ移ります。
まもなくフリーとなり、映画だけではなくテレビアニメの作画監督なども担当しました。

引用:http://www.yk.rim.or.jp/~rst/rabo/okuyama/
関わった作品は『魔法使いサリー』や『秘密のあっこちゃん』、『キャンディキャンディ』など。どれも有名な作品ですよね。
1975年には『アンデルセン童話にんぎょ姫』で、女性初の単独での作画監督となりました。
1985年からは東京デザイナー学院アニメーション科で教えるようになった奥山さん。
アニメーターとしてだけではなく、銅版画家としても活躍しました。
銅版画によるアニメ映画『連句アニメーション 冬の日 松尾芭蕉七部集より』の制作にも関わっています。
奥山さんは、ナント銅版画でのアニメーションの構想も練っていたそうですよ。
しかし残念ながら作品にすることはないまま、2007年に肺炎により永眠されたそうです。享年70才でした。
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【なつぞら】奥原なつのモデルは誰?まとめ
日本の女性アニメーター、奥山玲子さんのプロフィールの一部をご紹介しました。
懸命に仕事に打ち込む奥山さんの姿は、ドラマのなつと重なりますね。

引用:http://archive.j-mediaarts.jp/festival/2015
奥山さんの夫・小田部羊一さん曰く、「なつぞらは、奥山の伝記じゃなくて、モデルというかヒントなんです」と語っていらっしゃったようですね。(後日談)
これらの事から、脚本家・大森氏は、なつに当時の奥山さんを重ねて、日本アニメーションの黎明期を描こうとしているように思われます。
近年、日本文化の代名詞にもなった『アニメ』が、どう成長していくかという視点からも、今回の『なつぞら』は注目ですね。♬~