『スカーレット』の主人公・河原喜美子(戸田恵梨香)は、女性陶芸家の草分けの神山清子(こうやまきよこ)さんをモデルに制作されています。
神山さんは陶芸家として有名ですが、骨髄バンクの設立運動をされた方でもあります。
きっかけは、息子の神山賢一(こうやまけんいち)さんが白血病に倒れたことでした。
まだ、この賢一さんについてはドラマのキャストとして発表されていません(2019年9月現在)。
【追記】2019年11月時点で喜美子の息子役に伊藤健太郎さんが決定しました。
しかし、清子さんを主人公とするならば、この骨髄バンク設立のエピソードは欠かせないはずです。
今回は、息子・神山賢一さんについて、ご案内いたします。
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もくじ
【スカーレット】武志のモデル・賢一さんとはどんな人?
まず、清子さんの息子、神山賢一さんとはどんな人なのでしょうか。
陶芸家夫婦の間に生まれて
神山賢一さんは、神山易久(こうやまやすひさ)さんと清子さんの間の、第二子として1961年(昭和36年)に生まれました。
ただ、易久さんと清子さんの夫婦仲は、陶芸への姿勢の違いから次第に冷えていき、ついには離婚にいたりました。
清子さんが精神的に立ち直り、離婚を決意したのは、賢一さんの「父さんいなくてもいい!」という一言だったそうです。
その後、清子さんは、長女・久美子さんと賢一さんを懸命に育てます。
しかし、そのころ清子さんが挑戦していた『寸越窯(ずんごえがま)』はうまくいかず、生活は非常に苦しかったそうです。
その中で清子さんと賢一さんは、久美子さんが焼き餅を焼くほど仲が良かったそうです。
辛い時期の清子さんを精神的に抱えたのは、賢一さんだったようです。
陶芸家としての賢一さん
幼い頃から清子さんの窯焚きを手伝っていた賢一さんは、やがて両親と同じく陶芸家になることを目指しました。
まず、賢一さんは、陶芸に欠かせない窯の勉強をしました。

神山賢一さん
滋賀県立『信楽工業高校』(現在の信楽高校)の『窯業科(ようぎょうか)』に進学します。
さらにその後は『信楽窯業試験場』で3年間、修行したのです。
清子さんは賢一さんの事を「弟子であり、ゆくゆくの跡取り」と考え、「作陶の『秘密』まで教えようと」したそうです。
しかし、賢一さんにとって母は「ライバル」だったのだそうです。
清子さんが釉薬(ゆうやく)を使わない焼き物を目指したのに対して、賢一さんは母とは逆に、釉薬の研究に打ち込みました。

賢一作「天目茶碗」引用:https://aucfree.com/
特に天目茶碗(てんもくぢゃわん)と呼ばれる、焼き上がると黒い金属のようなつやが出る陶器の研究をしたのです。
「僕、親の力をかりて生きたくないなあ」賢一さんはそう語ったそうです。
ただ、亡くなる直前、賢一さんは清子さんに、清子さんの自然釉に自分も挑戦してみたかった、と漏らしたことがあったそうです。
母である清子さんの仕事にも、敬意を持っていたのですね。
【スカーレット】モデル・神山賢一さんと骨髄バンク運動
白血病に倒れる
賢一さん29歳の時に、急に腰が酷く痛むと訴えたのです。
付いた病名は『慢性骨髄性白血病(まんせいこつずいせいはっけつびょう)』。
余命は二年半と宣告されました。
白血病治療には骨髄移植しかありませんが、当時は今のような『骨髄バンク』はありませんでした。

神山親子の映画「火火・ひび」では窪塚俊介さん(兄は俳優・窪塚洋介)が賢一役を、田中裕子さんが清子役を演じました 。
骨髄バンク設立まで
賢一さんの友人達は『神山賢一君を救う会』を発足し、やがて「神山賢一君支援団体連絡協議会』に発展しました。
賢一さんは入退院を繰り返しながら、会の運動に奔走し、作陶にも打ち込みました。
清子さんも、骨髄バンクの必要性を各地で訴え続けました。
『神山賢一君支援団体連絡協議会』の解散後に、『骨髄バンクと患者を結ぶ会』が結成されます。
会長となった賢一さんは、「たとえ、私の命が消えても、後に続く患者の誰かが救われましたら・・・」とスピーチしました。
この母子の努力が報われ、1991年に日本初の骨髄バンク『財団法人骨髄移植推進財団』(現在の日本骨髄バンク)の設立に至ります。
賢一さんの死
しかし、残念ながら、賢一さん自身にはドナーが見つからないまま、賢一さんの白血病は再発します。
闘病の末に最期は母・清子さんに抱かれながら、賢一さんは静かに息を引き取りました。
享年31歳のことでした。
亡くなった賢一さんの身体は、ご本人の遺志で献体(死後に、身体を病気の研究のために病院に提供すること)されています。
清子さんも、検体が行われている2年間は賢一さんに会えるから、それで気持ちの整理がつくと考えたそうです。
「あの2年間は、私にとって本当に貴重な時間でした」と、清子さんは語っています。
【スカーレット】息子・武志のモデルは誰?モデル・神山賢一さんまとめ
2019年度後期・NHK朝ドラ『スカーレット』のヒロイン・喜美子のモデルとなった神山清子さんの息子、神山賢一さんについてご紹介させていただきました。
母・清子さんは、今でも『滋賀骨髄献血の輪を広げる会』の会長をしておられます。
賢一さんは生前、清子さんに「僕で終わっていい。あとは自分の仕事をして」と、言い残したそうです。
でも清子さんは「知らん顔はできない」として、現在も骨髄バンクの活動に尽力されています。
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