上方歌舞伎を代表する役者のひとり、四代目・中村鴈治郎(なかむらがんじろう)さんが、【おちょやん】キャスト・『鶴亀』大山社長役として出演します。
なんと、42年ぶりの朝ドラ出演です!
ここでは、【おちょやん】キャスト『鶴亀』大山社長の役柄と、中村鴈治郎さんの横顔をご紹介させていただきます。
【おちょやん】キャスト大山社長役|中村鴈治郎さんの役柄とは?
道頓堀の芝居小屋を牛耳る上方(かみがた/関西)演劇界のドンと呼ばれています
そんな鶴蔵は、冷徹な経営者の顔を持つ一方で、無類の芝居好きという面を持ち合わせています。
そのため、芝居関係者からすると敵になったり味方になることも。
大山社長は、女優の道を進むヒロイン・千代(杉咲花)の転機に深く関わります。
『鶴亀』大山社長のモデルは、松竹創業者の白井松次郎(しらいまつじろう)さんです(双子の弟・大谷竹次郎さん一緒に創業)。
白井さんは、初代・中村鴈治郎さんの芝居を観て芝居に生涯を支える決意を固めたと伝えられています。

(左)白井松次郎さん(右)初代・中村鴈治郎さん
意気投合した白井さんと中村さんは数多くの興行を成功させ、ともに繁栄の礎を築きました。
その白井松次郎さんをモデルにした役を、初代・中村鴈治郎さんの曾孫の四代目・中村鴈治郎さんが演じるため話題を集めそうです。
◆大山社長のモデル!『松竹』創業者の白井松次郎の実話はコチラ▶
【おちょやん】キャスト大山社長役|中村鴈治郎さんのプロフィール
【おちょやん】キャスト鶴亀の社長・大山鶴蔵を演じるのは、歌舞伎役者の四代目・中村鴈次郎(なかむらがんじろう)さんです。
鴈治郎さんは『初代・中村鴈治郎』の曾孫で、1959年(昭和34年)2月6日生まれ、2020年に61歳になりました。
京都府出身で、本名は林智太郎(はやしともたろう)さんです。
屋号は『成駒家(なりこまや)』、定紋は『イ菱』です。
舞台に立ち始めた当初は、本名から取った中村智太郎(なかむらともたろう)と名乗り、36歳(1995年)で五代目・中村翫雀(なかむらかんじゃく)を襲名。
そして、56歳になる直前の2015年に、代々に渡って大阪の顔とされる『中村鴈治郎』の四代目を襲名しました。

(左から)三代目、四代目、二代目、初代
【中村鴈治郎の系譜】
・初代:本名・林玉太郎さん
・二代目:本名・林好雄さん(初代の次男)
・三代目:本名・林宏太郎(二代目の長男・2020年11月に逝去した四代目・坂田藤十郎)
・四代目:本名・林智太郎(三代目の長男)
四代目・鴈治郎さんは、立ち役(男役)を中心に女形も演じ分け、若々しい役から渋みのある役まで演じる芸域の広い役者として高く評価されています。
さらに、松竹新喜劇の作品を歌舞伎として上演するなど、新たな試みにも積極的に取り組む上方歌舞伎界のリーダー的存在です。
【おちょやん】キャスト大山社長役・中村鴈治郎さん|華麗なる名門一家
四代目・中村鴈治郎さんのご両親は、2020年11月にお亡くなりなった人間国宝の四代目・坂田藤十郎(さかたとうじゅうろう)さんと、元宝塚スターで女性初の参議院議長を務めた扇千景(おおぎちかげ)さんです。

中村鴈治郎さんのご家族
鴈治郎さんの弟は、三代目・中村扇雀(なかむらせんじゃく)さんです(※写真:後列中央)。
そして、鴈治郎さんの長男・中村壱太郎(なかむらかずたろう)さんも、歌舞伎役者として父を支えています(※写真:前列左)。
さらに、女優の中村珠緒(なかむらたまお)さんは父方の叔母です。

叔母の中村珠緒さん
鴈治郎さんのご家族は、上方歌舞伎を代表する華麗なる名門一家です。
代々に渡って歌舞伎の名門として歩んできた家柄だけに、独特のしきたりや慣習があるのでしょうね。
どんなものなのか、気になります~。
奥様は日本舞踊の家元
鴈治郎さんの奥様は、日本舞踊家で『吾妻流(あづまりゅう)』の六代目家元・三世宗家の吾妻徳穂(あづまとくほ)さんです。
鴈治郎さんは奥様について、ともに伝統芸能の世界に生きる人間で、それぞれの芸について語り合えて信頼できる仲だと語っています。
夫婦であり、芸の道を理解しあえる関係とは素敵な関係ですね。
【おちょやん】キャスト大山社長役・中村鴈治郎さん|厳しい稽古とは無縁で育つ?
四代目・中村鴈治郎さんが誕生した1959年の頃、関西の歌舞伎は人気が低迷していました。
そのため、一家は演じる場を求めて東京に移住。鴈治郎さんは生後8カ月の時から東京で育ちました。

3歳の頃(右下)
小学生の頃に初舞台を踏んだ鴈治郎さんですが、それ以降は稽古をほとんど受けることはなかったそうです。
いわゆる梨園(歌舞伎社会)では、幼いころから厳しい稽古を積むのが一般的ですが、鴈治郎さんの両親は舞台よりも学業を優先させたとか。
慶應義塾大学在学中も、三味線ではなくピアノを習ったり、バーテンダーなどのアルバイトをしていたと語っています。
ピアノやバーテンダーとはビックリです!
歌舞伎界だけでなく、一般社会を知るという意味では良い経験をしたことでしょうね。
【おちょやん】キャスト大山社長役・中村鴈治郎さん|42年前に出演した朝ドラとは?
四代目・中村鴈治郎さんは、【おちょやん】は朝ドラ2作目です。
前回はなんと、大学生だった19歳の時に朝ドラに出演していました!

朝ドラ『おていちゃん』に出演した頃
中村智太郎の名前で出演したのは、42年前に放送された朝ドラ第21作『おていちゃん』(1978年)です。
その時は、ヒロイン・てい子(友里千賀子)の弟役を演じました。
もし『朝ドラお久しぶりランキング』があるとすれば、42年ぶりの出演はトップクラスかもしれませんね♪
【おちょやん】キャスト大山社長役・中村鴈治郎さん|御曹司が抱えたハンディとは?
学生時代を謳歌した四代目・中村鴈治郎さんは、大学を卒業すると「就職するように歌舞伎界に入った」と語っています。
しかし、本格的に歌舞伎を始めるには年齢的に遅すぎだったようです。
芝居の立ち居振る舞いだけでなく、三味線や長唄などの芸を身に着けるために相当な苦労したそうです。
そして何より、上方歌舞伎を演じる上での一番のハードルは関西弁が話せないことだったとか。
とにかく、幼い頃から修行した他の役者に追いつくために、必死に修業に励んだそうです。
そんな鴈治郎さんを、指導したり励ましてくれたのが、3歳年上の十代目・坂東三津五郎さん(故人)と4歳年上の十八代目・中村勘三郎さん(故人)だったそうで、鴈治郎さんは二人にとても感謝しています。

(左)18代目・中村勘三郎さん(右)10代目・坂東三津五郎さん
成功した鴈治郎さんの影に、ご自身のたゆまぬ努力と、名役者と言われた二人のお仲間の支えあったのですね。
【おちょやん】キャスト大山社長役・中村鴈治郎さん|大阪の顔になる
今でこそ上方歌舞伎界のリーダー的存在の四代目・中村鴈治郎さんですが、東京育ちのため大阪は馴染みのない土地でした。

若かりし頃(五代目・中村翫雀の時代)
五代目・中村翫雀(なかむら かんじゃく)を襲名して間もない頃のことです。
大阪に縁の深い名門の御曹司とはいえ、知る人はごく一部だけでした。
そこで、一念発起し、2001年から大阪で部屋を借りて生活をスタート。
舞台に出る一方で、顔を覚えてもらうために、朝日放送の人気番組『おはよう朝日土曜日です』のレギュラーコメンテーターを始めます。
2年間に渡り番組出演することで、関西圏での知名度が一気に上がります。
そして、2015年1月、満を持して『四代目・中村鴈治郎』の襲名披露を行うと大阪は歓喜にあふれました。
大阪で鴈治郎といえば、初代の時代から「がんじろうはん」と親しみを込めて呼ばれる偉大な名跡だそうで、鴈治郎の復活は待ち望まれていました。
▼襲名披露の際の歓迎の様子
鴈治郎さんは、四代目襲名を機に、正式に住民票を大阪に移して名実ともに『大阪人』になりました。
そして、すっかりと偉大な名跡が板についた鴈治郎さんは、関西から日本の歌舞伎界を盛り上げています。
伝統を守りながらも、新しいことにチャレンジする鴈治郎さんの今後の活躍に期待です~。
四代目・中村鴈治郎さんの出演経歴
NHK朝ドラは、中村智太郎の名前で『おていちゃん』(1978年下半期)ヒロインの弟・大沢直次役で出演。
『おちょやん』(2020年下半期)大山鶴蔵役は、42年ぶり2度目の出演となります。
ミュージカル『マリアと緑のプリンセス』(2017年)劇団オーナー・マシュー役で出演しています。

初のミュージカルでも好演
そのほか、本業の歌舞伎だけでなく多方面で活躍中です。
【おちょやん】キャスト大山社長役|中村鴈治郎さんの役柄と42年前に出演した朝ドラとは?|まとめ
【おちょやん】キャストのキャスト『鶴亀』の大山社長を演じる、四代目・中村鴈治郎さんの役柄とプロフィールをご紹介しました。
鴈治郎さんは、42年ぶりに朝ドラに帰ってきます。
演じることになる鶴亀社長・大山鶴蔵は、女優を目指すヒロイン・千代の人生に深く関わっていくという重要な役どころ。
さらに、鴈治郎さんの曽祖父と強い縁のある方がモデルですので、感慨もひとしおではないでしょうか。
芸域の広い役者と言われる鴈治郎さんが、この演劇界の大物役をどのように演じるのか楽しみです~♪