▮ドラマの中での夫・新次郎
NHK連続テレビ小説「あさが来た」の中で、ヒロイン・あさの夫が白岡新次郎です。
大阪の両替屋の名門・加野屋の次男で、明朗で優しい性格でしたが、家の商いには全く関心が無く、三味線や茶道といった趣味ばかりに没頭する、いわゆる道楽者でした。
あさと夫婦になり、あさの性格や行動力に次第に感化され、後に女性実業家として邁進する妻を、夫としてしっかり支えていく事になります。
▮新次郎のモデル・広岡信五郎とは
「あさが来た」夫・新次郎のモデルとなった広岡信五郎は、ヒロインあさのモデルとなった女性実業家・広岡浅子の夫です。大阪の両替商である加島屋の8代当主・久右衛門正饒(まさあつ)の次男として生まれ、本家の生まれですが、加島屋の分家・加島屋五兵衛の元に養子に出されます。(あさが来たでは、分家と設定)
加島屋は大阪では名の知れた豪商でしたが、どうも勘定にいい加減なところがあったようでした。妻・浅子はそんな店の経営に危機感を抱きますが、信五郎は浅子の言う事に聞く
耳を持ちません。
お金持ちのお坊ちゃん気質の信五郎は、謡曲や茶道といった趣味に明け暮れ、店の事には我関せずといった具合でした。(あさが来たの新次郎は三味線道楽の設定)
その後、明治維新の動乱期に入り、幕府が崩壊。多くの諸大名に貸していたお金の回収ができず、加島屋は危機に陥ります。
多くの両替商は倒産しましたが、浅子の尽力もあり、加島屋はなんとか難を逃れます。
その後、信五郎の謡曲仲間から聞いた炭鉱に興味を持った浅子と共に、炭鉱業という新しい分野を開拓していきます。それまでは商いに関心を示さなかった信五郎でしたが、謡曲仲間と共に尼崎紡績(ユニチカの前身)を立ち上げ、初代社長となります。
そこから実業家としての頭角を現し、加島銀行の2代目頭取、大同生命の副社長を務め、大阪の実業界で信頼を得るようになります。
「あさが来た」の中では、あの仕事嫌いの新次郎が実在のモデルのように変身するのか?この辺も楽しみの一つと言われています。
実史では、この時代はまだまだ女性が社会で活躍する事が難しい時代でした。その為、浅子が手掛けた事業のトップに夫である広岡信五郎が就く事で、浅子の実業家としての才能を支えたとされています。
夫・信五郎と浅子は、生涯に渡り公私共に良きパートナーでした。ちなみに、ドラマの中での二人の年齢差は11歳となっていますが、実際の年齢差は8歳だったそうです。
信五郎は、浅子との間に子供を一人もうけています。亀子という女の子です。そして、実は、浅子以外の女性との間にも子供がいます。相手の女性は、浅子が広岡家に嫁ぐ以前からずっと浅子の世話をしてくれている小藤という女性で、浅子の嫁入りの際に一緒に広岡家に来てくれたお付きです。(あさが来たでは、小藤をモデルとした登場人物はありません)
浅子が、事業で忙しく家の事も夫の世話もできない自分の代わりに、小藤を側室にと願い出たという話も伝えられています。浅子は、結婚後もなかなか子宝に恵まれなかった事もあり、信頼していた小藤を頼ったのかも知れませんね。