NHK朝ドラ「とと姉ちゃん」
ネタバレ感想7週38話
2016年5月17日(火)放送
とと姉ちゃん7週テーマ「常子、ビジネスに挑戦する」
とと姉ちゃん ネタバレ感想・最終回まで7週38話
常子は、東堂から平塚らいてうが中心となって作った雑誌「青鞜(せいとう)」を借りて帰ります。めったに本などは読まなかった常子が、一気に読み通すと、かつてないほどの新鮮で自由な気持ちを味わうのでした。
そんな中、最近なにか悩み事を抱えるかのように、元気のない鞠子に気づきます。力づけようと、常子は平塚らいてうの「青鞜」を読むように勧めます。
あまりにも熱心に進める常子の勢いに負け、鞠子は気が進まないまま手に取りページをめくります。ところが、鞠子もそれを読むと大いに感動し、翌朝には笑顔の鞠子に戻っていたのでした。「読み終わった後、景色が変わった気がした」それが、鞠子の感想でした。
二人は一緒に「青鞜」を返しに東堂先生のもとを訪ねます。
東堂は、ヨーロッパでは女性が男性同様に働き、参政権も有ると話すと、常子も鞠子も目を丸くして驚くのでした。日本の「女性参政権」はこれから30年以上の時を経ることになります。二人が驚くのも無理もありません。
さらに「青鞜」は、作品も編集もすべて女性たちでやっていると聞き、常子は大いに感銘を受けるのでした。
そして、東堂は二人に向かい「らいてう先生のように、何事も女性だからと尻込みせずに挑戦することが大切です。お二人は、これから挑戦したいことがありますか?」と、聞くのでした。
東堂の問いに、鞠子は口ごもり、はっきりと答えることができませんでした。それは、鞠子がひそかに抱える悩みにも関係していた事だったのでした。
常子は、鞠子のその微妙な反応に、違和感を覚えますが・・・
森田屋にて。
この年に起こった「二・二六事件」以来“戒厳令”統制のまま、世の中が少しずつ不穏な空気に包まれ、そして、景気も悪くなっていました。
世の中には倒産や夜逃げの話がささやかれ「きな臭い世の中になってきた…」と隈井が嘆くように将棋を指します。宗吉もそれに相槌を打ち深刻ぶっているところに、帝大生・星野がひょっこりと顔を出します。
星野は、先輩から“酒盗(しゅとう)”をもらったが酒が苦手だと言い、いつもお世話になっている森田屋の皆さんにと酒と一緒に届けに来たのでした。
「気が利くねー!」満面の笑みを浮かべた宗吉が音頭を取り、いつの間にか酒盛りが始まりました。
そうとは知らず、常子が学校から帰得ると、茶の間は近所の人も集まって宴会となっていました。が、・・・その中に、見慣れた顔が!なんと、叔父・鉄郎がいつの間にか紛れ込んでいるではありませんか・・・ つづく
【今日のポイント】
雑誌「青鞜(せいとう)」のネーミングは”Blue stocking”ブルーストッキングに由来したそうです。18世紀の半ばロンドンではシルクのフォーマルな黒い靴下ではなく、深い青色の毛糸の長靴下を身につける事が、教養が高く知性を尊重する婦人達のグループのシンボルとして採用されていました。それをヒントに生田長江(評論家・著述家)が日本語に訳し命名したとされています。
とと姉ちゃん7週38話・感想まとめ
東堂チヨ先生登場
また新たな人物が登場しました。常子ちゃんの担任の東藤チヨ先生がその人です。
凄いですねぇ、楽しいですねぇ。これぞ、朝ドラの醍醐味、衝撃的な登場だったと思いませんでした?
『元始、女性は実に太陽であった』と、あたかも平塚らいてうの代弁者のごとく生徒たちに訓示する様も迫力満点ですし、雷に『お静かに!』と注意する人などおりませんものね。
その東堂先生は平塚らいてう女史に心酔しているということなのでしょうかしらね…。
ともかく、前回の【あさが来た】に続き平塚らいてう女史が絡んでいて東堂先生の愛読書(?)「青鞜」が常子ちゃん姉妹に大きな影響を与えるなんて、それもまた、興味深いことです。
役者片桐はいりさん
東堂チヨ先生を演じているのは個性派の片桐はいりさんですが、魅力的な役者さんですねぇ。
役者さんとしてもお気に入りの役者さんなので、出演自体が嬉しいことなのですが、今回は、東堂先生が凄いのか、片桐はいりさんが凄いのか、とんと見分けがつかない、見ていて訳が分からなくなるほどのはまり役!最高です。
演じる役のキャラクターを前面に出して押し付けることなく、それでいて、この東堂チヨなる愛すべき女教師になり切っています。面白おかしく演じているのでもないのに、そこはかとないユーモアも見事に演じていらっしゃいます。できるなら学生時代に戻り、あんな先生に出会いたかったと思わせるバイタリティーがあり、自信に満ち魅力にあふれた先生ぶりです。
やはり、片桐はいりさんのあの強烈な個性と演技力…。見る者を圧倒します。(見る者だけではなく、常子ちゃん、鞠子ちゃんをも圧倒していましたけれどもね)
「人形の家」のノラを演じたいがために劇団に入ろうとして大きすぎて入れなかったが、今でも納得してないと聞いて『はぁ』と言葉を失う常子ちゃんと鞠子ちゃんが、どこか愛らしくみえたのも、東堂先生がいればこそ、です。
ちなみに、片桐はいりさんは今では無くなってしまいましたが「ブリキの自発団」という劇団に立派に入団を果たしていますから、東堂先生とは違いますよ。
昭和11年の三大事件
ところで、葉っぱの兄ちゃんこと星野青年持参の酒と酒盗を肴に昼、日中から酒盛りを始めたダメンズたち。(なぜか、ダメンズ筆頭の鉄郎叔父さんまで加わっています)
大女将のまつさんと、宗吉さんの奥さん照代さんは不在なのでしょうかしら?照代さんはともかくまつさんがいたら、『こら!』と一喝されそうな大宴会ぶりですが・・・。
その中で、ダメンズたちが盛んに『アベサダ、アベサダ』と言っていましたが、これって、昭和11年の5月に東京は荒川区で起きた阿部定事件のことを言っているのでしょうね。
今では知っている方も少なくなっているこの事件ですが、当時はその猟奇的な内容で大変衝撃的な事件だったようです。朝ドラとは真逆のベクトルにある事件ですから内容は割愛しますけれど、阿部定が逮捕されると新聞が号外を出すなど、センセーショナルに報道もされたようですよ。
この「阿部定事件」と隈井さんが戒厳令はひかれ、まだ解除されていないと新聞を見ながら言っていたのが「二・二六事件」そして、「上野動物園クロヒョウ脱走事件」とを合わせて「昭和11年の三大事件」と呼ぶのだそうです。
いくら、盗んでも飲みたくなるほど美味しい酒盗がつまみでも、まだ太陽が高いうちの大宴会はいかがなものでしょうかしらねぇ。それに、最後の檀さんのナレーション…。
『~そんな予感が…』いやはや、いやな予感が・・・ですね。
ではでは
感想by香風