「アンパンマンのマーチ」は、アニメ『それいけ!アンパンマン』の主題歌として、誰もが一度は耳にしたことある名曲です。この記事では、アンパンマンのマーチの概要、東日本大震災当時の感動的なエピソードをご紹介します。作詞を担当したやなせたかしさんの熱い想いに触れてみましょう。
🔳国民的アニメソング「アンパンマンのマーチ」
「アンパンマンのマーチ」は、アニメ『それいけ!アンパンマン』の主題歌として1988年に初めて放送され、現在もなおオープニングテーマとして使用されています。アンパンマンの作者であるやなせたかしさんが作詞、「津軽海峡冬景色」「時の流れに身をまかせ」などで知られる三木たかしさんが作曲を担当しました。オリジナル曲は、本楽曲でCDデビューをした姉妹ユニットのドリーミングが歌っています。
1993年にシングルCDとして発売され、2008年には12cm版でもリリース。さらに、2003年には着うた配信が開始され、2011年には日本レコード協会からミリオンセラー認定を受けています。アニメ公式チャンネルのYouTubeでも総再生回数3,100万回を超えており、不動の人気を誇っているといえるでしょう。
やなせさんの故郷である高知県では、2008年から高知駅の列車接近メロディとして「アンパンマンのマーチ」のサビが採用されています。「アンパンマンのマーチ」は単なるアニメ主題歌にとどまらず、時代を超えて愛され続けているのです。
🔳「アンパンマンのマーチ」発表当時の反響
「アンパンマンのマーチ」は放送当時から子ども向けアニメの主題歌としては斬新で哲学的な歌詞が話題となり、多くの注目を集めました。明るく力強いメロディが子どもたちに支持される一方で、「子ども向きではない」「怖い」と歌詞内容への批判もありました。特にテレビサイズでは省略されている1番の歌詞「なんのために生まれて なにをして生きるのか」は大人でも考えさせられる内容です。
やなせさんは戦争で出征した経験や弟の千尋さんを特攻隊で亡くした過去を持つため、「弟への鎮魂歌」や「特攻隊へのオマージュ」ではないかと考察する声がありました。そのことについて、やなせさんは著書『ぼくは戦争は大きらい』(小学館)の中で、「そのような意図はなかった」と明言し、世間の噂を否定しています。賛否両論あった歌詞ですが、子どもたちに自然と歌われ続け、次第に親世代にも浸透しました。
2006年に公開された劇場版『いのちの星のドーリィ』は「アンパンマンのマーチ」の歌詞をテーマにして作成された作品のため、この機会に視聴してみてはいかがでしょうか。
🔳東日本大震災の被災地で響いたアンパンマンのマーチ
「アンパンマンのマーチ」は、2011年の東日本大震災によって再び注目を集めることになります。震災直後にラジオで放送されたことをきっかけに、子供たちや大人の心に深く響き、避難所から多くのリクエストが寄せられました。
歌詞の「生きる喜び」というメッセージが、多くの人に希望を与えたのです。YouTubeにアップロードされた「アンパンマンのマーチ」の動画は、当時再生回数が約1,300万回に迫るほどの人気を集めました。
震災当時、引退を考えていたというやなせさんですが、この反響に心を動かされ、「引退するのはやめた。死ぬまで現役!」と決意を新たにしたといいます。アンパンマンを通じて復興支援に力を尽くすことを決め、チャリティーイベントや絵本の寄贈など、子供たちに笑顔を届ける活動に積極的に取り組みました。
「アンパンマンのマーチ」に込められたメッセージは、震災後の人々の心を支えただけでなく、作詞者であるやなせさん自身にも勇気を与えたのです。