朝ドラ「あんぱん」第54話では、伍長に昇進した嵩が、海軍少尉となった弟・千尋と小倉で再会。揺れる兄弟の想いが交錯します。

あんぱん 11週 第54話|放送前ネタバレあらすじ・考察|兄弟が交わす夏のちかい
1944年(昭和19年)・夏
入隊してから2年が経ち、伍長に昇進した嵩(北村匠海)。ある日、嵩の弟・千尋から手紙が届き、小倉で会うことになったのです。差出人の欄に『海軍少尉 柳井千尋』とあり、何も知らなかった嵩は驚くのでした。
自ら海軍予備学生へ
弟・千尋(中沢元紀)と久しぶりに顔を合わせた嵩。千尋は京都帝国大学で法律の勉強をしていると思っていた嵩は、白い軍服姿の弟にショックを隠せません。
お酌をしようとする千尋に、嵩は「お前、酒なんか飲めるのか」と驚きます。「大学で酒を覚えた」と千尋。今の状況に至った経緯を話し始めました。
卒業が半年繰り上げになり、自ら海軍予備学生に志願したと千尋は説明します。まず海兵隊に入り、その後は対潜学校に入ったと言うのです。
さらに、駆逐艦に乗るための訓練を4ヶ月で叩き込まれたと語る千尋。敵の潜水艦のスクリュー音を探知して爆雷を仕掛けると淡々と話すのです。
千尋の強い覚悟
そんな千尋の様子に、嵩は「千尋、お前どうしちゃったんだよ…」と、戸惑いと憤りを覚えました。お前が聞きたかったのは弱い者たちの声であり、彼らを救いたかったのではないかと問うのです。
千尋は家族みんなにとっての自慢であり、誇りなのだと伝える嵩。伯父・寛(竹野内豊)が生前に話していた「何のために生まれて、何をして生きるがか」という言葉を持ち出しました。
しかし、千尋は「もうやめてくれ!」と反発します。さらに、5日後には佐世保から駆逐艦に乗り、南方へ向かうのだと告げるのです。
後戻りはもうできないと、覚悟した表情を浮かべる千尋。伯母・千代子(戸田菜穂)や女中・りん(瞳水ひまり)のため、母・登美子(松嶋菜々子)のため、のぶ(今田美桜)や国民学校の子どもたちのためなら命も惜しくないと言います。
そして千尋は、使い古された手帳を取り出し、嵩にお守りとして持っていて欲しいと託しました。新聞記者だった父・清(二宮和也)が仕事で大陸へ行った際につけていた日誌です。
嵩は千尋に持っておくよう返しますが、千尋は清の写真をお守りに持っていました。柳井家へ養子にきたときから大切にしていると語るのです。
幼い頃のように
昔みたいに相撲か柔道、拳闘で勝負しないかともちかける嵩。しかし千尋は、兄貴との殴り合いは二度とごめんだと断りました。
一番やりたいことを聞かれた千尋は「もういっぺん、シーソーに乗りたい…」と言います。のぶも一緒にいる楽しかった時代を思い出す2人。その流れで、千尋はのぶへの想いも吐露するのです。
幼い頃からのぶが好きだった千尋。もたもたしていた嵩にも腹を立てていました。「わしは生きて帰れたら、もう誰にも遠慮はせん。今度こそのぶさんをつかまえる」と千尋。彼女は人妻だと諭す嵩に「構わん!」と宣言します。
生きて帰れ
千尋は「この戦争さえなかったら」と本音を話し始めました。そして「この戦争さえなかったら、愛する国のために死ぬより、わしは愛する人のために生きたい!」とも。
嵩は千尋を抱きしめ「生きて帰ってこい。必ず生きて帰れ!生きて帰ってきたら、今度こそ、自分の人生を生きろ」と伝えます。千尋は頷くことなく「兄貴…お元気で」と告げました。
「武運長久を!祈ってるぞ」と嵩。千尋は「柳井千尋少尉、行きます」 と返し、 2人は再び離ればなれになるのでした。
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あんぱん 11週 第54話|放送後|今日の感想・考察まとめ!
今日のポイントは、
柳井兄弟だけで描く15分間です。
登場人物は柳井兄弟のみと、思いっきり振り切って描かれた第54回。
覚悟を感じる熱量にすっかり引き込まれ、あっという間に感じました。
特に印象的だったのは、東京弁で別人のように語る嵩くんの弟・千尋くんです。それが兄の言葉を受け感情が爆発し、いつもの高知弁が飛び出して…!
あの瞬間、やっと海軍少尉から『弟』に戻れたんだと伝わり、こちらの涙腺もドバッと崩壊してしまいました。
またネット上では、そんな千尋くんが「この戦争がなかったら」と悔しがるシーンへの反響が大きかったようです。
「千尋の胸に秘めていた熱い想い、心が震えたよ」
「千尋くんの叫びが戦争に対する人間の本音やなぁと思った」
「今日の回の千尋の言い方が今生の別れみたいな感じで悲しくなる」などなど。
本音を吐き出した姿に感動しつつも、まるで遺言のように感じた朝ドラファンも多くいました。
そして別れ際のやりとりにも、死を覚悟する千尋くんを感じる瞬間がありました。
嵩くんから必ず生きて帰れと言われたのに、1度もうなずきませんでしたよね。代わりにお元気でと返事をし、再び海軍少尉の厳しい顔へと戻っていて…。
もう高知弁をしゃべる千尋くんに会えない追加フラグに思えて、なんとも切なくなってしまいました。
3年ぶりの再会で、お互いを思い合う兄弟愛に溢れた第54回。
朝ドラファン的には難しいと分かっていても、嵩くんと同じく千尋くんの生還を願わずにはいられない〜!
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あんぱん 11週 第54話|放送後|みんなの感想・考察!
あと一年で終戦だから
かなり戦況は厳しくなってるよね
千尋くんはきっと
戻っては来れないと分かってるんやなぁこの戦争さえなかったら
— 瀬尾 (@345sa) June 12, 2025
「駆逐艦なんて」の言葉がとても切ない絶望と怒りの混ざった兄の声色。「たった一人弟なんだ」で号泣。
千尋が少し微笑んだこと
今までの気持ち兄に伝えられたこと
ずっと優しい兄と兄を大好きな弟
2人が全く変わっていないことだけが救いだったな。#朝ドラあんぱん— あお (@kAff9Wvy6zqmYb1) June 12, 2025
国の大義名分に蓋をされ無いものとされた、人間の、個人の心をこじ開けて(現代に)突きつける回だった。
個を消し去るため、「英霊」という言葉は戦争の文脈に利用された。
蘭子の「嘘っぱちや!」、登美子の「生きなさい!」が共鳴するように頭に響いてくる。#朝ドラあんぱん
— 花房 彩子 (@Apollo_AYAKO) June 12, 2025
千尋くんは嵩が一緒だと少しだけ強くなれる。千代子さんや隣近所の圧を振り切って法学の道を選ぶ事ができた。
人妻のぶを奪う宣言も、きっとそう。
この先も嵩と一緒に生きていきたかったと思う😭#朝ドラあんぱん— こなみん🌈🍺🦈👑🐃 (@mmoomm1913) June 12, 2025
「何をグスグスしとった。ほかの男に取られて。兄貴はたっすいがーのアホじゃ!」
「何も言えねえ」→ ぐっさー、そのとおり。#きょうのあんぱん
#朝ドラあんぱん— Cathy (@0429Cathy) June 12, 2025
あんぱん 11週 第54話|放送前|予告・感想・考察まとめ!
小倉へ嵩に会いにくる千尋
第54話では、覚悟を持って嵩くんと会う弟・千尋くんに涙する予感〜!
第54話の見どころは、小倉で柳井兄弟が水入らずで過ごすシーンになりそうです。
どうやら嵩くんの弟・千尋くんは、大学卒業が半年早まり海軍予備学生に志願していたのだとか。
完全に寝耳に水だった嵩くんの心中を思うと、朝ドラファンとして胸が痛みます。
そもそも第49話で嵩くんは「戦争は大嫌い」と口にし、その後は不本意ながら兵役についています。
だからこそ、自ら軍隊へ志願した弟の気持ちを理解できるはずがありません。
一方の千尋くんは小さい頃から賢くて、周りの空気を自然と読んでしまうキャラ。
嵩くんが、女子師範学校に通い始めたのぶちゃんとソリが合わなくなった時も、校風が軍国主義に染まっているからだと察していたほどです。
そんな性格から大学の同期たちが次々と志願する姿に影響を受けるのは、千尋くんらしいとさえ思います。
そんな真逆の2人が戦争や国についてお互いの考えを伝えあうシーンには、多くの朝ドラファンがもどかしい気持ちになるかもしれません。
そんな千尋くんが、嵩くんに託す『古びた手帳』も気になりますね!
真っ先に思い浮かぶのは、2人の恩人である伯父・寛さんの遺品である可能性です。
これまで寛さんの言葉は、嵩くんの苦しい心中を何度も救ってくれました。
手帳にはそんな寛さんが書き留めた温かな言葉やささやかだけど幸せな日常が書かれているのかもしれません。
あるいは、記者だった柳井兄弟の父・清さんの遺品という線も考えられます。
柳井家には、寛さんが受け取った清さんの雑誌などが保管されていましたよね。
嵩くんにとって1番幸せな家族の記憶を呼び覚ますアイテムとして、戦争中に折れそうになる心を支えてくれるのかもしれません。
いずれにせよ、もう兄とは会えないと覚悟を持って手帳を託しに来る千尋くん。
多くの朝ドラファンが、兄弟水入らずで過ごせる貴重な時間に涙することになりそうです。
千尋くんが物語から退場する前の重要シーンになるのは濃厚なだけに、第54話での2人のやりとりを脳裏にしっかり刻みたい〜!
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あんぱん 11週 第54話|出演者と番組情報
11週 第54話 出演者 | 北村匠海,中沢元紀,奥野瑛太,櫻井健人,薄平広樹,板橋駿谷,萩原亮介,久村優太郎,三浦和也,田中穂先,清水天琴,永瀬ゆずな,木村優来,平山正剛,妻夫木聡 |
脚本 | 中園ミホ |
音楽 | 井筒昭雄 |
主題歌 | RADWIMPS 「賜物」 |
語り | 林田理沙(アナウンサー) |
制作統括 | 倉崎憲 |
放送期間 | 2025年3月31日〜2025年9月26日予定 |