朝ドラ『あんぱん』が戦争描写に突入し、物語の雰囲気が大きく変わりました。日常を丁寧に描いてきた序盤とは一転し、戦争の理不尽さや登場人物たちの葛藤がリアルに描かれ、視聴者の間でも「朝から重い 」「でも目が離せない」と話題になっています。
さらに今週は、妻夫木聡さんが演じる謎の八木上等兵が登場し、「優しそうなのに怖さもある」「何者?」とSNS でも考察が続出しています。主人公・嵩の軍隊生活と家族の苦悩、そして物語の今後に注目が集まっています。
◾️「あんぱん」の戦争描写に「ここまでシビアな描かれ方をしたことはなかっただろうか」
「あんぱん」の戦争描写が、各方面で大きな注目を集めています。のぶは、師範学校時代に慰問袋を作っていたことが新聞で取り上げられ、国から「模範」として称えられ軍国主義に染まっていく様子が描かれます。出征した嵩も戦地での厳しい現実に直面し、先輩兵士からの暴力を受けることで、戦争の非情さを実感します。文芸評論家の齊藤美奈子氏は東京新聞のコラムで「朝ドラはこれまで何度となく戦争の時代を描いてきたが、ここまでシビアな描かれ方をしたことはなかったのではなかろうか。」と言及しています。
SNS でも以下のような声が聞かれました。「『あんぱん』戦争…目を逸らしてはいけない題材なのはわかってるけれど…なかなかしんどい。… (なんなら豪ちゃんをまだ引きずってるよ…)」「とにかく戦争編は早く終わってほしい。観ててつらい」「朝ドラ『あんぱん』。人々の洗脳される様を通して戦争の怖さを描いてる。あれだけ天真爛漫で自分に正直に生きてきた主人公のぶが『愛国のかがみ』となってしまう怖さ。心の奥底では揺れ動いてる様が見て取れるが。出征してゆく兵士に喜んで命を捧げて来いと言わんばかりの当時の空気が本当に怖い。」
「あんぱん」では、戦争が「誰か遠くの他人に起きたこと」ではなく、「善良でまっすぐな普通の人々」が知らず知らずのうちに加担していく過程が丁寧に描かれています。主人公たちの葛藤や成長を通じて、戦争の本質やその影響を問いかけるのではないでしょうか。
◾️八木上等兵(妻夫木聡)の登場に「何者?」「雰囲気全然違ってすごい」
NHK 連続テレビ小説「あんぱん」に登場する八木信之介上等兵(妻夫木聡)は、SNS 上で「何者なのか」「他の兵士と雰囲気が違う」と話題になっています。八木上等兵は、嵩が入隊後に出会う上官的な立場で、理不尽な暴力が蔓延する軍隊の中で決して暴力を振るわず、穏やかな表情と人当たりの良さを持ちながらも、どこか掴みどころのない人物です。
SNS 上でも、多様な意見が寄せられています。「妻夫木聡ってちょっとなさけない役が多いイメージだけど、あんぱんの軍の先輩は怖い感じで妻夫木と気が付かなかった演技すげえ」「八木上等兵(妻夫木聡)みたいな人 一見優しく思うけど 怒らせた時に1 番怖いで」「八木上等兵は何者?幹部候補生の試験を敢えて受けていない大卒インテリ。『金鵄勲章』持ってるという噂は怪しいけど。階級に関係なく中隊内にとどろく存在感。あきらかに嵩を気に掛けてる様子がある。八木上等兵の謎は深まるばかり… 。」
八木上等兵のモデルは、やなせたかしさんが軍隊時代に出会った新屋敷上等兵(やなせさんを暴力から守った人物)と、戦後の創作活動を支えたサンリオ創業者・辻信太郎さんの二人が基になっていると考えられます。八木上等兵は、暴力が支配する軍隊の中で「非暴力の正義」を体現するミステリアスな存在であり、今後嵩の人生にどのような影響を与えるのか注目されています。八木上等兵の言動や態度は、嵩にとって新たな指針となり、過酷な軍隊生活の中でも自分を見失わずにいられる支えとなりました。
【6/9〜6/13】第11週のおさらい 嵩の新たな試練と八木上等―兵との出会い―
第51回(6月9日・月曜)
昭和17 年6 月、高知から福岡・小倉連隊へ転属となった嵩は神野万蔵の内務班に配属され、馬場の厳しい訓練と理不尽な制裁を受けながら軍隊生活を始めます。そんな日々の中、暴力を用いずに接する異色の上等兵・八木信之介と出会います。八木上等兵は詩集を踏みにじる馬場を制し、嵩に『軍人勅諭』の暗記を指示します。
第52回(6月10日・火曜)
嵩が靴磨き中に旧友・健太郎と再会し、心が軽くなります。『軍人勅諭』の暗記をしていた嵩は、陸軍幹部候補生試験を受けるチャンスを手に入れます。試験を控えた嵩に、八木は「受かるしかない」と励まします。嵩は勉強に集中するため馬舎の夜番を志願したものの、試験前夜に寝坊してしまいます。
第53回(6月11日・水曜)
変わり者の八木上等兵の口添えもあり、寝坊した嵩は幹部候補生試験に合格します。一方、高知では、のぶのもとに夫の次郎から手紙が届き、日本の戦況が劣勢であることが伝えられます。昭和19 年夏、入隊から2 年が過ぎ、嵩は伍長の階級に昇進。ある土曜日、京都帝国大学で法律を学んでいたはずの千尋が、海軍少尉になって嵩を訪ねてきます
第54回(6月12日・木曜)
嵩と千尋は座敷で酒を酌み交わし、久々に心を通わせます。千尋は卒業が繰り上げられ、海軍予備学生に志願し、対潜学校で駆逐艦乗組員としての訓練を受けていました。千尋は国や家族を守る決意を語り、父の古い手帳を嵩に託すのでした。別れ際に千尋は戦争がなければ法学を究め、弱者を救いたかったという本心や、のぶへの想いも吐露しました。
第55回(6月13日・金曜)
小倉連隊に中国出動の命令が下り、嵩は出発前夜に星空の下で八木上等兵の横顔を描きます。これまでの支援に対する感謝を伝える嵩に対し、八木上等兵は、嵩に自分と共通する気質を感じ取ったと話します。嵩は中国の駐屯地に到着し、同級生の田川岩男と再会。部隊は駐屯地で治安維持活動を行い、戦況に備えます。次回からは戦況も深まり、嵩の立場や決断がさらに描かれていきそうです。
第11 週では、嵩の軍隊生活の序幕と、 謎めいた上官 八木上等兵の存在が物語を大きく動かしました。戦場への序章として、嵩の葛藤と成長が描かれ、視聴者の期待を高めた週でした。